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東京地方裁判所 平成7年(特わ)1900号 判決 1995年10月30日

裁判所書記官

諸星聖臣

本店所在地

東京都中野区本町三丁目一四番二一号

株式会社

リフォームサービス

(右代表者代表取締役 鳴川真由美)

本籍

東京都中野区本町一丁目一番

住居

東京都中央区本町三丁目七番一五 フラット中野本町三〇九号室

会社役員

鳴川幸一

昭和一七年三月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官長島裕、弁護人横山康博各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社リフォームサービスを罰金一五〇〇万円に、被告人鳴川幸一を懲役一〇月に処する。

被告人鳴川幸一に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人リフォームサービス株式会社(以下「被告会社」という)は、東京都中野区本町三丁目一四番二一号に本店を置き、内装工事の設計施工等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人鳴川幸一(以下「被告人」という)は、被告会社の実質的経営者として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、受取手数料を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三六九二万一九五八円(別紙1の1、同1の2参照)であったにもかかわらず、平成三年一一月二八日、東京都中野区中野四丁目九番一五号所在の所轄中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一三五万三六一四円で、これに対する法人税額が三七万四二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成七年押第一四〇六号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一三〇八万七〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一二七〇万六五〇〇円を免れ

第二  平成三年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八九四二万六〇四四円(別紙2の1、同2の2参照)であったにもかかわらず、平成四年一一月三〇日、前記中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇五万七三二二円で、これに対する法人税額が一一三万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成七年押第一四〇六号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三二七七万一八〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額三一六三万八八〇〇円を免れ

第三  平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四三四三万九五六八円(別紙3の1、同3の2参照)であったにもかかわらず、平成五年一一月二九日、前記中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四四万六六〇三円で、これに対する法人税額が四〇万三八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成七年押第一四〇六号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一五五二万八五〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一五一二万四七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

〔括弧内の番号は、検察官請求の証拠等関係カード記載の番号を示す〕

全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(七通)

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、外注費調査書、受取手数料調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、領置てん末書

一  柾谷広美、角弘明、小山昇、長田滋男、篠原完治、佐々木邦雄、今井隆夫、吉川清、鳴川真由美の検察官に対する各供述調書

一  中野税務署長作成の証拠品提出書

一  検察事務官作成の捜査報告書四通(甲2、6、10、24)

一  東京法務局登記官作成の登記簿謄本四通(乙8ないし11)

第二、第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲14)

第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の雑損失調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成七年押第一四〇六号の1)

第二の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成七年押第一四〇六号の2)

第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の労務費調査書、固定資産売却損調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成七年押第一四〇六号の3)

(適用法令)

罰条

〔ただし、刑法は、いずれも、平成七年法律第九一号による改正前のものを指す〕

被告会社につき 判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(ただし、判示第一事実の罰金額の寡額につき、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項)、二項(情状による)

被告人につき 判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項(ただし、判示第一事実の罰金額の寡額につき、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項)

刑種の選択

被告人につき 懲役刑

併合罪の処理

被告会社につき 刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

被告人につき 刑法二五条一項

(量刑の事情)

本件は、内装工事の設計施工等を業とする被告会社の実質的な経営者である被告人が、取引先の中堅内装工事会社の社員から、同社の利益隠しに協力すれば手数料名下に利益を与える旨依頼され、これを承諾し、自社の将来の事業資金蓄財などを主たる目的として、架空売上を計上し、受取手数料を除外するなどして、過少申告により所得を少なくみせかけ、合計五九四七万円の法人税を脱税したという事案であり、ほ脱率は、通算九六・八パーセントに達している。

右犯行の動機、脱税額、ほ脱率の高さ、架空名義の法人の領収書を作成したり、外注を仮装した犯行の手段、方法などを勘案すると、犯情は悪質で、同種犯罪予防の見地かちしても、その刑事責任を軽く考えることはできない。

ただ、被告人には、前科前歴がなく、本件発覚後は捜査に協力したほか、真摯な反省の態度を示し、今後の納税に遺漏ないことを期して、再犯しない旨を誓っている。

また、被告会社は、本件三事業年度分の税金を修正申告し、本税、延滞税、重加算税などをすべて完納している。

当裁判所は、以上のほか、被告会社が、本件事件後は、脱税を咎められて取引先から取引停止の処分を受け、売上高が激減するなどの社会的制裁を受けている現況にあることや、被告人を頼りとする妻や幼い子供らがいると認められることなどの一切の情状を考慮して、主文のとおり量刑した次第である。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金二〇〇〇万円、被告人・懲役一〇月)

(裁判官 大谷吉史)

別紙1-1

修正損益計算書

<省略>

別紙1-2

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙2-1

修正損益計算書

<省略>

別紙2-2

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙3-1

修正損益計算書

<省略>

別紙3-2

修正製品製造原価報告書

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

株式会社リフォームサービス

自 平成2年10月1日

至 平成3年9月30日

<省略>

自 平成3年10月1日

至 平成4年9月30日

<省略>

自 平成4年10月1日

至 平成5年9月30日

<省略>

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